大津市、2年ぶりの待機児童ゼロ、その取り組みとは。
大津市は4月1日時点で、市内の公立・民間の保育施設で待機児童数が二年ぶりにゼロになったと発表した。
待機児童は全国でもずっと続いている社会問題です。入所を希望しても保育所が不足していたり、定員がいっぱいであったりで入所ができていない児童のことで、特に大都市部で増加しています。
大津市が待機児童ゼロに至った経緯を少し調べてみました。
2015年~2017年、大津市は待機児童ゼロとなっていたが…
大津市は2015年に待機児童がゼロになったと発表しており、その後3年間、待機児童ゼロを続けていたが、そもそも国が定義する待機児童に当てはまらないものの入所できなかった児童が112人もいることを発表している。
mainichi.jp※出典:毎日新聞記事より
そう、待機児童ゼロとは、まさに言葉のマジックみたいなもので、国が定めている待機児童の定義に当てはまらなければ、待機児童としてはカウントされず、これが全国的に問題となりました。
「待機児童がゼロです。」と掲げる自治体が他にもいくつもありましたが、入所を断られた親からすると、「ウチの子は入所できていないのになんで!?」となる訳です。
そういった隠れ待機児童を見つけるためにも2017年3月より待機児童の定義を変更しています。(ただし、定義を変更しても隠れ待機児童は存在します。)
待機児童の定義が変更、2018年では待機児童ゼロにならず。
大津市は2018年、4月1日時点では待機児童が58人発生したと発表している。
www.city.otsu.lg.jp※出典:大津市の公式ホームページより
待機児童ゼロが達成できなかった理由はいくつかありますが、特に気になったのは、以下の一文です。
保育士不足というのは全国どこでも言われていますが、特に滋賀県は、東京、大阪に次いで全国3位ということで、有効求人倍率が約5倍ということで、全国以上に保育士不足が非常に深刻であるということがありました。
2015年の待機児童ゼロになってからも、保育園の増設などを行っているというのは聞いていましたが、滋賀県が保育士不足の全国3位、というのは知りませんでした。むしろ、そういう問題はないとさえ思っていました。
2018年度の取り組み
翌年の待機児童ゼロに向けて、市は色々と対策を打っていきました。
特に目立ったのは、やはり保育士確保をどのように行うかですね。
大津市が行った取り組みを一部紹介していきたいと思います。
京都市で保育士確保へ
滋賀県内の募集だけでは、保育士不足を解消するには難しいと考えた大津市は、隣の京都市へ乗り込み、大学や短大の新卒学生へ向けた就職フェアを開催していました。
www.asahi.com※出典:朝日新聞記事より
滋賀短大と大津市、幼児教育・保育分野における就職支援協定
幼稚園教諭や保育市を育成する滋賀県短期大学の、その卒業生の多くが、大津市外で就職しているという。
そこで、市内の保育施設の合同説明会を開いたり、市内の保育施設への就職を働きかけるといった就職支援を行うといった内容の協定を結んでいました。
www.sumire.ac.jp※出典:滋賀短期大学ホームページより
保育士の魅力PR活動
大津市は「保育士のお仕事 魅力発信BOOK」を作り、大学や専門学校、市内の公共施設で無料配布を行っていました。
現役保育市のインタビューを通して、若者に保育市の魅力や、働く楽しさなどを伝えてるといった内容のようです。
また、表紙には就職支援協定を結んだ滋賀短大の学生を起用している。
www.kyoto-np.co.jp※出典:京都新聞より
このように大津市は1年にわたり、保育士確保のために活動に力を入れていた模様。
さて、効果はいかほどだったのでしょうか。
2年ぶりの待機児童ゼロを達成
2019年4月、大津市は2年ぶりに待機児童がゼロになったことを発表。また、入所児童数に対し大幅に保育定員を増やしたと話している。(約600人)
なお、今月1日の入所児童数は昨年より252人も多い、8213人でしたが、しっかりと保育員が確保できたこともあり、今回の待機児童ゼロに繋がったのかと思います。
www.chunichi.co.jp※出典:中日新聞より
なお、大津市内の保育施設は、大津市の公式ホームページに掲載されています。
www.city.otsu.lg.jp※出典:大津市の公式ホームページより
晴れて待機児童ゼロとなった大津市ですが、これって、全国に散らばるはずだった保育士が、大津市に就いてくれたってところが大きいので、全国的には待機児童の問題はまだまだ解決には程遠い話ですね。
今回紹介したような保育士を目指す人を増やす活動や、施設を充実させる活動をこれからも続けていって頂きたいと思います。