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ヨシとは?|びわ湖の水環境、生態系を守るために役立つのは何故?

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ヨシ」が琵琶湖の水環境、生態系を守るために役立つと言われていますが、「そもそもヨシって何なんだろう?」といまさら聞けない人のために、今回はヨシとは何かをまとめてみました。

ヨシの種類について

琵琶湖周辺のヨシは、ヨシツルヨシセイタカヨシに分類されます。ヨシはイネ科の植物で、湖沼や河川の水際に群落を形成し、水面から50cmほどのところに生えています。

ツルヨシはヨシより一回り背が低いです。琵琶湖には少なく河川などに生えています。

セイタカヨシは、水辺よりすこし高いところに生えています。セイタカヨシはあまり琵琶湖の北部の方にはありません。

このなかで特にヨシは大群落を作ります。

また、ヨシとアシの違いについては基本的には同じものです。もともとの呼び名が「アシ」でしたが、「悪し」を想起させ連想させ縁起が悪いとし、「悪し」の反対の意味の「良し」に変え、「ヨシ」と呼ばれるようになりました。

ただし、滋賀県のヨシ業者はヨシの近くに生えているオギのことをアシと呼んでいます。オギはヨシと比べて商品価値がないので、昔の名残のまま「アシ」(悪し)としています。ヨシは枯れた茎の中が空洞ですが、オギは綿状のものが詰まっています。

ヨシの性質

ヨシが地面から、芽を多く出す時期は3月中頃からです。琵琶湖では南の方から北上していき、6月頃まで急激に成長し、7月下旬まで草丈が伸び続けます。大体2~3mほどまで伸びますが、琵琶湖の湖北では4mのものになるものもあります。

穂は初期には赤紫色のものも見られ、その後小さな花をつけ、小さな黒い種ができます。

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葉も5月~8月まで茂りますが、7月初旬頃から枯れ始め、10月には枯れ葉の方が多くなり、11月頃には地上部はすべて枯れてしまいます。

ただし、地下の見えない部分は生きています。

ヨシは光合成で得た養分を7月下旬頃から地下茎に養分を蓄えており、その養分を使って、地下茎は地面と平行に伸びます。その先端から新しい芽を出し大きく成長する植物です。花も咲き種もできますが、地下茎自体も地中を横に伸びて成長し、その結果ヨシ原はぐんぐん広がっていき大群落をつくります。

ヨシは、水辺の植物の中でも大変乾燥に強い植物です。土地が乾燥しても、地中深く長い根をもつヨシは、地下深くにある地下水を吸い上げることができます。

また、塩分にも耐性があり、他の植物が生えない汽水域や海の沿岸部分にもヨシ原を形成しています。

ヨシ群落の役割、もたらす効果とは?

ヨシ、マコモ、ウギヤガラ、ガマ等の抽水植物とこれらとヤナギ類が一体となったものがヨシ群落と呼ばれています。このヨシ群落が琵琶湖にもたらす効果や、はたらきについてまとめました。

水をきれいにする効果

ヨシ群落には水をきれいにする効果があります。

ひとつは、ヨシによって水の流れを弱くして水の汚れを沈めるはたらきです。

もうひとつは、ヨシの水中の茎につく微生物や、ヨシ群落の土中の微生物が水の汚れを分解します。

最後に、ヨシには水中の窒素、リンを養分として吸い取るはたらきがあるということです。

魚の住処としての役割

ヨシ群落では、多くの魚が集まって産卵し、ふ化した稚魚は隠れ場、餌場として成長します。

コイ、ニゴロブナ、ゲンゴロウブナ、ギンブナ、ホンモロコなどヨシ群落内に卵を産み付け、小魚の時はこの中で生活をします。ヨシノボリ、スジエビもヨシ群落の中に多く生息しています。カワニナ、ヒメタニシなどの貝類は、ヨシに付いて生活をしています。ヨシ群落は魚や貝の宝庫です。

参照元http://azuchi-shiga.sakura.ne.jp/

野鳥の住処

多くの野鳥がヨシ群落に集まります。それぞれ卵を生んで子供を育てたり、餌をとったり、ネグラにしたりしています。

カイツブリオオヨシキリ、バン、カルガモなどはヨシ群落の中で卵を生みます。また、スズメ、ツバメ類は、ヨシ群落をねぐら(巣は違う場所に作る)にしています。

参照元http://azuchi-shiga.sakura.ne.jp/

このためヨシ群落は琵琶湖の水環境だけでなく、生態系を維持する上でも大きく関わりを持っています。

ヨシ群落の保全

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ヨシ群落は、湖国らしい郷土の原風景であり、魚の住処や、野鳥の生息場所、湖岸の侵食防止、水質の保全など多様な機能を有しており、琵琶湖の環境保全に大きな役割を果たしています。

しかし、現在、ヨシ群落は昔に比べて減ってしまいました。県では、このようなヨシ群落の多様な働きを見直し、保全することによって、美しい琵琶湖を次代に引き継いでいくため、平成4年7月1日滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例「ヨシ群落保全条例」を施行しました。

ヨシ群落保全条例は、琵琶湖自身の健全な自然の営みを重視し、その維持と回復に努める必要があることから、琵琶湖の保全活動の新たな第一歩として湖辺のヨシ群落の保全を図っていこうとするものです。

ヨシ群落の保全条例に関する資料が県のホームページに掲載されていましたので、転載しておきます。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/53069.pdf

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/53070.pdf

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/53071.pdf

最後に

琵琶湖は起源を600万年にも遡ることのできる世界的にも貴重な湖です。

ヨシが琵琶湖にとって大切な植物であることをほんの少しでも知って頂けたのなら幸いです。

また外来魚問題と合わせ、琵琶湖の生態系を守るための活動として重要視されており、ヨシを守り、育て、活用できる様々な取り組みが行われています。