琵琶湖で釣り、外来魚はリリース禁止、生態系を守るための取り組みとは?
琵琶湖で釣った外来魚(主にブラックバス、ブルーギル)をリリースすることは、滋賀県の条例で禁止されています。
これから初めて釣りをする方も、釣りをしない方も琵琶湖に対する県の取り組みについて少し触れてみましょう。
なぜリリース禁止なのか
琵琶湖は起源を600万年にも遡ることのできる世界的にも貴重な湖です。
そこには50種を超える固有種のほか、多様な生物で構成された生態系が存在しています。
ところが、現在の琵琶湖では、その多くがブラックバスやブルーギルといった外来魚によって占められており、本来の生態系が危機的状況にあります。
滋賀県は、健全の生態系を次世代に残すため、それを阻害する要因を一つずつ取り除いていく方針であり、釣りというレジャーの側面からも釣った魚は持ち帰ること(リリース禁止)を2003年から条例として定め、その絶対数を減らす政策を行っています。
リリース禁止の効果はあるのか
琵琶湖で釣りをする人は年間20万人程おり、外来魚を琵琶湖から取り除くにあたって相当の効果が期待できる、ということですが実際どうなのでしょうか?
そもそも釣った後どうすればいいのか?
釣った魚をそのまま持ち帰る訳にもいかないので、各地には外来魚の回収ボックスが設置されています。ボックスに入れられた外来魚は業者が回収し、魚粉にして飼料や肥料として使われます。
ただ、禁止されているにも関わらず、リリースをしているという話は何度か耳にしたことがありますし、著者も実際に目撃したことがあります。
また、外来魚駆除のイベントが各所で何度か行われているのですが、否定的な回答が多数あるというのも事実です。
一般的な釣りがキャッチ&リリースをルールとしているほか、釣った魚を殺すことへの抵抗が大きいと考えられます。
なお、ブラックバス、ブルーギル共に、処理方法を徹底すれば、他の魚同様、ちゃんと食することができますので、決して「リリースしない=魚を無闇に殺すこと」ではない、ということは理解しておいてほしい。
ただ、淡水魚には多く寄生虫が存在しますので、刺身のような生で食べることはやめておきましょう。
リリース禁止の影響は微々たるもの?
前述したが、各所では外来魚駆除のイベントが行われており、その方法は、電気ショッカーボートなどを使っている。10年ほどでなんと3000トン以上もの外来魚が駆除されているとのこと。それでも未だに外来魚が多く生息している状況は変わらない。
そう考えると、釣った外来魚をリリース禁止にすることの影響は微々たるものかもしれません。
在来魚が減ったのは外来魚だけの所為なのか
在来魚の減少は、外来魚の食害だけではなく、ヨシ帯や内湖の減少、水質の変化なども指摘されているようです。
そのため、県は外来魚対策だけではなく、水質規制や、内湖やヨシ帯の保全など、水質浄化能力回復と、生物の生息環境の保全に努めているようです。
【2019/06/23】 更新
外来魚駆除の結果と今後の取り組み
外来魚駆除が10年以上も続く中、未だに外来魚がその多くの割合を占めている状況であり、どのような結果が現れているのか、また今後の取り組みなどについて調べてみました。
ブラックバスの稚魚が急増
2017年5月の産経新聞の記事に、気になる記事がありました。
ブラックバスの成魚は、ブラックバスの稚魚を食べており、成魚を駆除したところ、今度は稚魚が急増してしまう現象が発生したとのこと。
※詳しくは下記、産経新聞のサイトを参照。
この記事によると、県の担当者は、以下のように話している。
「放置していては外来魚は増える一方で、在来魚を守るために駆除は不可欠。稚魚ごと駆除できる方法を模索している」
そう考えると、釣って駆除するという行為も本当に効果があるのか、ちょっと疑問に感じたりもします。
遺伝子操作で駆除対策
遺伝子工学を使用して、卵を産まないブルーギルをつくるという手段が注目されています。
※詳しくは、下記のサイトを参照。
こちらの記事によると、以下の手段で外来魚が根絶できると紹介されています。
「メスを不妊にする遺伝子をオスに持たせ放流。
そのオスがメスと交配することで、その遺伝子が自然に広まっていく。
この技術では根絶ができる」
成功すれば、30年程度で根絶ができるとのことですが、今後の動きに注目していきたいところです。
琵琶湖の外来魚が謎の半減
外来魚駆除が続く中、2018年9月の産経新聞に気になる記事を見つけました。
※詳しくは下記、産経新聞のサイトを参照。
なぜかブルーギルだけが捕れないが、思い当たる節はない、とのこと。
県は減少の原因を探るために調査を始めているようです。
終わりに
さて、釣りでの外来魚リリース禁止から、色々と確認しましたが、外来魚を駆除することに対する考え方は様々で、何が正しいとは言えませんが、生態系を守るための県の取り組みについて、どのようなことが行われてきたか、その片鱗は見えたでしょうか?
今後の動きで何か見えたらまたお伝えしていきたいと思います。